★天王山を終えて★
Embed from Getty Imagesマンチェスター・シティーという
”高い壁” は今回も登りきることはできなかった。
トーマス・パーティーの筋肉系の怪我によりジョルジーニョが先発すると、守備の強度を上げる狙いかRBにはホワイトではなく、冨安を選択。今季はリヴァプール戦にもLBでジンチェンコ不在時にサラー対策かつ戦略的な采配として冨安をスタメン起用してきた。
以前の大一番では冨安の起用が最高な味を出してくれたわけだが、今回は苦汁を飲まされてしまった。
立ち上がりは悪くなかった。
前線からシティーのビルドアップをはめていき、詰まらせたところでボールをけらせる。そのボールを回収し、アーセナル側はうまくパス回しができていた。特に右サイドは冨安、ウーデゴール、サカを中心にポジションを入れ替えうまく相手をいなし、チャンスの起点となっていた。
ただ、悪夢が襲った。
アーセナルではミスらしいミスで失点に絡むことのなかった冨安だが、ここ大一番でのパスミス。デブライネにかっさらわれ、失点を許した。確かにグリーリッシュのプレスは激しく、少し押されてなくも見えなくはないが、明らかにデブライネが見えていなく、最高のパスとなってしまった。
それからはPKで1点を返し、前半を1-1で折り返すが、後半もガブリエルのパスミスから失点。ダメ押しの3点目もマーカー含めてぐっちゃぐちゃであり、8人下がってきているのに対して、4人で崩された形となった。
Embed from Getty Images今季HOMEでの初黒星となったArsenalは1試合未消化ながらも、首位を明け渡す形となった。3試合未勝利は今季初。暗雲が立ち込める中盤戦となってしまった。
★原因分析★
総じていえば悪くはなかった。ジョルジーニョも急なスタメン起用となったが、卒なくパーティーの代わりをこなし、経験値の差を見せてくれた。特にギュンドアンのデブライネへのパスを完全に読んでシャットアウトし、エディーへの縦パスをピシッと決めたプレーは痺れた。こういう選手が控えにいてくれるのは後半戦に向けて本当に安心できる好材料である。
Embed from Getty Images冨安に関しても失点に絡む大きなミスはあったが、前線への効果的な抜け出しからのクロスや惜しいシュートも見られ、堅実にプレーできていた。
サカに関してはシティーが後半から4バックに切り替えたところでアケにはうまく対処されてしまったが、前半戦はべルナルドシウヴァになにもさせていなかった。(PKも落ち着いている)
Embed from Getty Imagesただ、総じて悪くないという感想しかなく、各ポジションの悪いところが日に日に目につくようにもなった。エディーの決定力不足、マルティネッリとの連携の悪さ、ジンチェンコが中に絞る意識が強くなりポジションも高すぎて、ジャカの存在も薄れていく。サリバもシーズン初めの好調さが、ワールドカップ明けからは見られない。
筆者は特にエディーの決定機/決定力不足、サリバの孤立、ジンチェンコの熱すぎる性格に問題があると考える。
エディーに関してはシティー戦でもそうだが、何本もチャンスを決めきれていない。ジンチェンコからのクロスや冨安からのクロス。PKになった抜け出しも運よくPKを獲得できたといっても過言ではない。
ここ3試合ではチャンスというチャンスの創出も減ってきており、ユナイテッド戦の輝きが失われてしまった。
得点が取れず、追う立場になると、これはこれでジンチェンコがヒートアップする。俺が俺がといわんばかりにボールを持ち、フィニッシュまで行くこともある。そこの隙を突かれ左サイドを突破されピンチを招くことも惜しまなくなる。そうなると悪循環の始まりだ。
サリバは昨年までのホワイトのようなカバーリングの意識が薄く、ガブリエルとタイプが似ているところがある。そうなると守備の補間をしあえる関係というよりかは、強い個が並んでいるのに近い。
前半戦はそこまで気にならなかったのだが、サリバの不調に比例するようにガブリエルが好調になってきているので、カバーに回れないサリバの弱さが目立つようになったと感じる。そして、右サイドによりすぎる癖もあるようで、RBへのはめパスに近い形のパスを出すことも少なくはない。
スタメンを固定してきた弊害といってもいいのだろうか。対策もされてきている。ここらへんで一回各ポジションのスタメンを一掃するのもいいのかもしれない。ケガからはスミスロウ、ネルソンも戻ってきている。左SBをティアニーに戻し、マルティネッリからトロサールに変えるのもいいだろう。
トロサール自体はサイドに張るタイプではないので、中に位置取りをし、効果的にティアニーの上下動を繰り返せば怖い存在になる。
Embed from Getty ImagesSBもサリバからホワイト起用に戻してみるのもいいかもしれない。ホワイトのビルドアップのうまさはチームピカイチなので、昨年のホワイトCBはかなりいまのアーセナルには効果的になると思う。また、ジャカのポジションには攻撃的なスミスロウを起用するのもいいだろう。
主力で出ていた選手が、一度外から今のアーセナルを観て、頭を冷やす機会が必要だ。
そしてそれは監督にも言える話。グアルディオラのようにとは言わないが、いろんな選択肢を持ったアーセナルをアルテタには魅せてほしい。
★総括★
Embed from Getty Images追いかける背中はまだまだ遠く、そして完成に近いと思ったアーセナルもまだまだこれからと思わせてくれる一戦となった。
ここからどんな闘いを見せてくれるのか。
次のアストンヴィラ戦では大きくメンバーを変えてみるのもいいかもしれない。
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